それは御伽噺で幻想だった。
でも、それは全て、私にとっては本当で、真実だった。
00.魔女
私はマグルである叔母夫婦に育てられた。お父さんもお母さんも死んでいた。
でも、それ以外は本当に何処にでもいる子供だと自分で思っていた。
私はよく怪我をする子供で叔母夫婦は手を焼いた。
私の小さな体は傷だらけで、よく叔母は学校に文句を言いに行ったものだ。
結局は徒労だったけど、それほど私を愛してくれていた。
叔母さんはいつも些細なことでも褒めてくれた。
子供がいない彼らにとって、子供代わりだった。
そんなある日、手紙が届いた。切手も貼っていない不思議な手紙。
ホグワーツ魔法学校への案内書だった。彼らは立ちの悪い悪戯だと笑った。
捨てようとしたけれど、私は何故かその手紙に惹かれたので、私は無理を言ってそれを貰った。
叔母は渋ったけど、私に渡してくれた。
私はそれを何度も読んで思った。これは、冗談じゃなく本物だと。
何故か分からないけど、確信していた。
その後、思ったとおり、魔法使いが来た。信じられないことを目の前でする魔法使い。
彼は魔法使いを知らない私に説明をするためにやってきた。
そして、知ってた。私のことを。
体育でイライラしていたとき、私のところへ飛んできたはずのボールが当たらずに撥ね返っていたこと。
両親が死んで、からかってきた奴が、何もないところで転んで怪我をしたこと。
私を虐めてたやつらがある日、急に頭から火がついて、死に掛けたこと。
私はもう既に、杖というものがなくても簡単な魔法を使えたんだ。
そして、後から知ることだけど、私が杖無しで意図的に使う魔法は特殊だったんだ。
私は彼から説明を受けて、魔法学校に行くことにした。
すると、叔母夫婦の態度は一変した。
彼らは魔法を信じない人間だということを私は重々承知していたから、こうなることは少し予想していた。
私は学校へ行かせない、と主張したが、私は耳をかさなかった。
急に彼らは恩着せがましくなって、私を此処まで育っててやっただとか、今までの学費は誰が出したと思ってるなどと言い出した。
純粋に彼らを慕っていた私は幻滅した。彼らは無償で私を愛してくれていたと思っていた私の思いは裏切られたんだ。
彼らにとっては私は期待の塊でしかなく、彼らの思い通りにならなければならない存在だっただけなのだと思い知らされた。
そんな中、彼らの間にはやっと子供が出来た。
厄介になった私をお払い箱にすることができるようになったんだ。
彼らはそれがわかった途端、私を孤児院に入れると言い出した。
私は構わないと言い、彼らはその通りにした。私に残ったのは両親の遺産だけだった。
彼らはプライドが高い人間で、私に遺産の相続をさせていたんだ。
学費などは返せといってきたけど、私は無視した。
もし、両親の遺産が無ければ、私は学校に行く事が出来ずに、彼らの言いなりになっていただろう。
そして、私は孤児院に入り、程なくしてホグワーツに入った。
援助はある程度、受けられたから、私はお金の心配が要らなかったことを知る。
無論、孤児院には学校の名前は秘密にしておいた。
けれど、私は孤児院には帰らず、漏れなべで休暇を過ごすようになる。
そして、私は今もその学校へと通っている。
楽しくはないけれど、結構楽しんでいる。
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2006-05-11 Written by mizuna akiou.